
下腿三頭筋(ふくらはぎ)とは?
ふくらはぎは身体の最下位部に位置する非常に重要な働きをする筋肉です。筋肉の正式名称は下腿三頭筋と呼ばれます。下腿三頭筋はヒラメ筋、腓腹筋の総称でありこれらを一般的にふくらはぎと呼んでいます。
高齢者になってくると転倒の怖さがありますよね。歩いても疲れやすい、すり足になってきている。そんな経験はありませんか?そのまま放置しているといずれつまづいて転んでしまうことも考えられます。転倒予防にはふくらはぎの筋肉が重要になってきますのでみていきましょう。
下腿三頭筋(ふくらはぎ)の解剖
下腿三頭筋は前述しましたように腓腹筋とヒラメ筋に分かれます。腓腹筋は画像でいうと上の2つポコポコとついているもの。ヒラメ筋は腓腹筋の下に位置する筋肉です。
腓腹筋の役割
腓腹筋はヒラメ筋とともに下腿後面を構成する筋肉で、大腿骨(ふとももの骨)下部の裏側から踵までに位置しています。
主な動作は、つま先立ちなど足首を伸ばすことです。少しイメージしてみましょう。
つま先立ちで皆さんバランスを取っていられますか?ふらつきませんか?若い頃はつま先立ちなんて余裕じゃなかったですか?それが今となってはバランス以前に足首も動かない現状にある方は多いのです。
こんな症状を持っている方は腓腹筋の筋力が低下している証拠です。つま先立ちになれないということは歩く際に一歩蹴りだす時の力も弱くなります。
ヒラメ筋の役割
ヒラメ筋は腓腹筋に覆われている深層筋であるインナーマッスルの一つです。名前の通り扁平な形をしていて、足首を伸ばして下方に振る役割を持っています。つまり足関節の屈曲と言えます。
これは腓腹筋と連動して出力を発揮する筋肉です。試しに今そこで膝を伸ばし、足首を起こした状態から前(下)へつま先を動かしてみてください。
皆さんどうでしょう?
しっかり動いていますか?この動きが悪いと歩くときの力の伝達が弱くなり、蹴りだす、着地する力が衰えてしまいます。
日常生活における役割
腓腹筋、ヒラメ筋は日常生活の中では足関節(足首)を屈曲(反らす)することで使われます。つまり身体のバランスを保ったり、姿勢を保持したり、歩くときに身体が前に倒れないようにする働きがあります。
また足の構造上、体重はかかとにのりますが、つま先部分はフリーな状態なので背伸びをする際にも使われます。
また腓腹筋、ヒラメ筋(ふくらはぎ)は身体の最下部に近い位置に存在する筋肉であり、体重や歩行時の負荷がダイレクトにかかります。
しかし考えてみるとふくらはぎにかけて足は細くなっていますよね?つまりそれだけ筋力が強いから細くても耐えられると言えますし、逆に疲労もたまりやすいとも言えます。
スポーツや運動での役割
スポーツでは飛ぶ、ダッシュ、走るなど地面を蹴るときに使われます。
テニスや卓球などでは、打つ、止まる動作にも関係してきます。俊敏な動きができるかどうかはふくらはぎにかかっていると言えます。
全てのパワーの源はふくらはぎの俊敏性や、瞬発力にかかっているといっても過言ではありません。
下腿三頭筋(ふくらはぎ)の特徴
ふくらはぎの筋出力、パワーがとてつもなく強いということがわかっています。
基本的に筋肉は体積に比例すると言われていますが、例えば裏ももやお尻(大殿筋)の筋肉と比べるとふくらはぎの大きさは半分以下になってしまいます。
しかし筋力やパワーに関してはふくらはぎのほうが勝るのです。これは筋肉の特性によるもので、ふくらはぎの筋肉、ヒラメ筋は羽状筋という構造であり、この羽状筋は平行筋と呼ばれるスピードに特化したものと比べて力があることが理由と言えます。
下腿三頭筋の筋トレの影響とは?
ではこれからふくらはぎを鍛えるとどんな場面で日常生活を快適にするのかみていきましょう。高齢者の方で筋肉不足を感じている方は特性をしっかり理解して取り組んでいきましょう。
むくみを克服
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれる筋肉です。全身の血液が重力によってふくらはぎに溜まります。するとふくらはぎは血液が逆流しないように唯一のポンプ機能を持ち合わせているため血液を送り出すことができるのです。しかし、ふくらはぎの筋肉が硬くなったり、弱くなったりすることでこのポンプ機能がうまく働かず血液や老廃物が停滞し、むくみや浮腫がでてきます。皆さんも心当たりはありませんか?むくむ方はふくらはぎを鍛えていきましょう。
歩行速度が上がる
ふくらはぎを筋トレすることで、歩行速度が上がります。歩行では、立脚後期と言って足が後ろに来た時に加速されます。
実は蹴りだしやすくなることが筋トレの効果ですが、更に足を後方にしたところから一歩踏み出すときの速度で歩幅は変わります。つまりしっかり踏み込んでい前に出すときにふくらはぎの筋肉が使われる
転ばないカラダづくりを
転倒のメカニズムから考えてみましょう。よく転倒する際にはつまづくと言われますが、これは歩き方がすり足になっているケースがあるからですね。すり足というのは無意識になることが多く、よくなんでもない段差につまづいた!ということがありませんか?すり足はふくらはぎの蹴りだしの力が弱くなることで発生します常日頃からふくらはぎを鍛えることで転倒のリスクを軽減することができます。
転倒して骨折になり入院、そのまま寝たきりになると認知症と連鎖になることが多いので気をつけましょう。
基礎代謝の向上になる
ふくらはぎは第二の心臓とも言われていることは既述しましたが、この部分が柔らかく発達した筋肉であることで全身への血液循環が良好になり、筋肉の活動も向上します。
すると筋肉が活発に働き始めることから代謝量が向上します。
基礎代謝の向上は痩せやすい身体であったり、高齢者の方であれば肥満や糖尿病にも役立てるのです。
睡眠の質が向上する
ふくらはぎを鍛えることと、睡眠には全く関係のないようにも思うのですが、実は血液循環を良好にすると自律神経の働きも整います。
交換神経と副交感神経の働きに関してバランスが取れます。
よく睡眠障害は精神的にも影響が出ると言われますが自律神経が崩れてしまうと精神に異常をきたすことも多いのです。
精神は脳だけではなく、筋肉も関係することを覚えておきましょう。
下腿三頭筋の筋トレ方法
ではここでふくらはぎの筋トレ方法をみていきましょう。高齢者の方でもできる方法が盛りだくさんですから、自分でできそうなものから挑戦してみてくださいね。
シーテッドカーフレイズ(初級)
初心者の方はまずは椅子を使ったふくらはぎのトレーニングから始めていきましょう。椅子に座ることで体制が安定し効率的に鍛えることができます。
1 椅子に座り姿勢を正します
2 つま先に力を入れてかかとを持ち上げます
3 持ち上げた状態で1秒キープ
4 ゆっくり戻しましょう
5 2秒に1回のスピードで15回~30回を目安に
動画で学ぶカーフレイズ
椅子を用いたカーフレイズ(中級)
続いて椅子につかまりながら行うカーフレイズです。座っている状態とは違い体重がふくらはぎにかかるので椅子に座るよりも強い負荷がかかります。
また安定した状態でトレーニングできるので高齢者の方でも安心してできますね。
1 椅子のせもたれにつかまります
2 姿勢を正し、背伸びをするようにかかとを上げます
3 上げきったところで1秒キープしましょう
4 15回~30回を目安にしましょう
5 2セット~3セット行います
シンプルカーフレイズ(中級)
これはオーソドックスなやり方のカーフレイズです。何にもつかまらずその場で鍛えていくものになります。
椅子につかまらなくても体制が安定する人はこちらにも挑戦しましょう。徐々にレベルを上げていくことが大切です。
1 姿勢を正して直立します
2 その場でかかとを上げます
3 体制が崩れないようにお腹に力を入れましょう
4 15回~30回を目安にしましょう
5 2セット~3セット行います
ダンベルカーフレイズ(上級)
ダンベルを用いたカーフレイズです。ダンベルを使うことで体重+ダンベルの負荷がかかるのでより効果的に鍛えることができます。シンプルカーフレイズで物足りなくなった人は挑戦してみましょう。
ふくらはぎの筋肉は比較的成長が早い筋肉なので最初からダンベルをもって取り組んでも構いません。
1 姿勢を正してダンベルを持ち直立します
2 その場でかかとを上げます
3 体制が崩れないようにお腹に力を入れながら行います
4 15回~30回を目安にしましょう
5 2セット~3セット行います
チューブカーフレイズ(中級~上級)
チューブを使用することでゴムの負荷がふくらはぎにかかります。重力や体重の負荷とは違い、ゴムなので伸び縮みするため負荷が常にかかる特性があります。
このチューブカーフレイズは負荷としてはそれほど強くないですが、使ったことがない人などには難しく感じることがあるので中級レベルから始めてみるといいでしょう。
またベッドに寝たきりの方でもチューブトレーニングならできるでしょう。チューブの安全を確保したうえで取り組ましょう。
1 チューブを足首に巻き付けます。ポイントはつま先につけること
2 膝を伸ばし、チューブの張きます
3 チューブは引っ張ったままつま先だけ前に押します
4 戻すときはゆっくり、チューブの張力があるのでそれにさからうようにしましょう
5 15回~30回行います
6 2セット~3セット行います
下腿三頭筋のストレッチ方法
筋トレの後はしっかりストレッチを行うことをおすすめしています。
筋トレは筋肉を収縮させ強くしようとさせるのに対して、ストレッチはその収縮して硬くなった筋肉を伸ばし疲労回復に繋げることができるのです。
時間のある方はストレッチも入念にしておきましょう。筋トレとストレッチの組み合わせはとても効果的なのです。
下腿三頭筋(ふくらはぎ)ストレッチ①
これはアキレス腱伸ばしと呼ばれるものですね。誰もが人生で1度はやったことのあるやり方です。
ふくらはぎに効果的なのでしっかり伸ばしていきましょう。
1 壁に手をつきます
2 片足を後方に引きます
3 ゆっくり伸ばすこと20秒~30秒です
4 反対側も同様に行いましょう
座位で行う下腿三頭筋(ふくらはぎ)のストレッチ②
続いて座って行うふくらはぎのストレッチです。
座って片足を伸ばすことでふくらはぎだけでなく裏ももや腰も伸ばされます。
1 片足を伸ばして座ります
2 つま先に両手を引っ掛けます、硬い方はすねなどでも良いです
3 足を反らしましょう
4 その状態で20秒~30秒伸ばします
5 反対側も同様に行いましょう
下腿三頭筋(ふくらはぎ)のストレッチ③
最後は一番おすすめふくらはぎストレッチです。
このストレッチは身体にハンデのない方はぜひやってみてください。
1 四つん這いになります
2 身体がくの字になるように折り曲げましょう
3 片足をもう片足の後ろにひっかけます
4 ひっかけられた足側のふくらはぎが伸びてきます
5 20秒~30秒伸ばして反対側も同様に行いましょう
このストレッチは片足が重りとなりストレッチ効果が高くなるのでぜひ一度チャレンジしてみてください。
院長つぶやき
今回はふくらはぎの筋トレ方法をご紹介してきました。
意外とふくらはぎの筋トレ効果って普段の日常生活には欠かせないですよね。私のお客様も今70代の高齢の方ですが、このトレーニングをやってもらってます。
この方は女性で、初めはふくらはぎがよくつる!というのが悩みでした。またそれと同時に足が冷えるというのです。
私は間違いなくふくらはぎの筋肉が硬い、弱いことが原因と考え、週に2回わずか5分で終わるトレーニングをお教えしました。
すると1ヵ月ほどするとつらなくなった以上に歩いても疲れなくなったとのことでした。そして全身の血液循環が良くなることで基礎代謝が向上し、体温も多少上がって快適になった。という経験があります。
おそらくその方は気づかれていいないですが、快適に歩けるようになったことは転倒を確実に防ぐことができます。なぜならしっかり足を上げて歩いている。
つまり膝下で歩くのではなく付け根から足を動かすことができているために全身の筋肉を使うからこそ快適に省エネで歩けるようになったということ。
全てふくらはぎがポイントだったということですね!
これからますます日本は高齢化になります。その中で生涯現役でいられる方は何%いらっしゃるのでしょうか?
介護を必要としなくても良い身体を作るには日頃のトレーニング、運動、食事、睡眠ですよね。
特に転倒予防としてふくらはぎのトレーニングは取り入れてみてください。皆さんが100マデ元気でい続けられるそんな情報をまた沢山載せていきます。